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認知症⑤ 認知症診療の5つのポイント 中編

[2019.05.24]
今回は認知症診療の5つのポイントの中編です。
まずは5つのポイントのおさらいです。
 
<認知症の5つのポイント>
①記憶は現在から昔に向かって失われていく。
②興奮・粗動行動などの精神症状は、身近な人に強く現れる。
③出来事は忘れても、感情の記憶は残りやすい。
④強く対応すると、強い反発を招いてしまう。
⑤認知症は進行する病気である。
 
それでは、③〜⑤についてご説明します。
 
③出来事は忘れても、感情の記憶は残りやすい。
認知症ではつい最近の出来事は容易に忘れてしまいます。
食事をしたこと、買い物に行ったこと、財布をしまった場所など、日常で起こったことはすぐに忘れてしまいます。
ここで介護者や医療者の皆様に絶対に忘れていただきたくないことがあります。
それが「出来事は忘れても、感情は忘れない」ということです。認知症患者様との関係構築の際には非常に重要になります。
患者様は忘れてしまったり、わからなくなってしまうことに対して、程度の差はあれど不安を抱えていらっしゃいます。それが周囲に気に付かれないように気を遣われている方も少なくありません。
そのような中、ご自身にとって嫌なことを言われわたり、怖いことを言われると、「この人は嫌なことや怖いことを言う人だ」という悪い感情がずっと残ってしまうのです。
 
例えば、
・「食事はさっきとったでしょ!」=>「この人はご飯はくれないくせに怒鳴ってくる、嫌な人だ」と認識する。
・「買い物には昨日も行ったでしょ!」=>「買い物にも行かせてくれない、そくばく強い人だ」と認識する。
・「財布は自分で押し入れにしまったでしょ!」=>「この人は自分が盗んだことを棚に上げる、ひどい人だ」と認識する。
といいった具合です。
 
一方で、良い感情も残りやすくなります。
そのため、認知症診療・介護では患者様にできるだけ多くの良い印象を残すために様々な工夫が必要になります。
 
④強く対応すると、強い反発を招いてしまう。
頻繁に物を忘れる、大事なものをなくす、以前できていたことができなくなってしまう、、、。
こうした症状が認知症のせいとはわかっていても、長い介護療養期間では介護者が患者様についつい強い言葉を発してしまうこともあるでしょう。
一般的に、患者様を強い言葉で叱責すると、同じくらいの強さで反発を招いてしまいます。さらにポイント④でご説明したとおり、認知症患者様にとって特に悪い感情は長く残ってしまうので、構築した信頼関係が無に帰してしまうこともあります。悪い感情は患者様の不安や焦燥感といった周辺症状を更に増長させ、認知症症状を悪化させてしまう懸念もあります。
強い言葉が強い反発を招いてしまうのと同様に、医療者や介護者が優しく穏やかに患者様に接すると、患者様の反応も穏やかになる事が多い、ということもまた事実です。
 
そのため、ついストレスが溜まって強い言葉や対応をしてしまいそうになったときは、「認知症の症状は病気のせいなんだ」と一度思いとどまり、なるべくソフトな表現を心がけることが認知症患者様と関わり続ける上で肝要となります。
あるいは、ポイント②でお伝えしたように、どうしても注意したいことがある場合には、身近な方ではなく、外に住んでいるご家族や医療関係者に伝えてもらうようにするのもよい方法です。
 
やっぱり長くなってしまったので、⑤は次回に、、、。
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